ものづくりとメーカー・ムーブメントに関する本のレビュー
当社のビジネスの背景にはメーカー・ムーブメントがあります. 3D プリンタだけでなくレーザー・カッターやその他さまざまな道具を駆使する “makers” と当社のやりかたはちがいますが,メーカー・ムーブメントから影響をうけているので,アマゾンに投稿した関連する本のレビューをここに再録してみます.
ホーム工場ができるきっかけになることを期待する ― クリス・アンダーソン 著 「MAKERS ― 21 世紀の産業革命が始まる」
かつては手工業的な方法で成功することができたが,大量生産の時代 20 世紀にはそういう方法で対抗できなくなった. 電子工作でも 1970 年代にアマチュア無線の全盛期をむかえたが,その後はわけのわからないマイクロチップの時代になったと著者は書いている. しかし,安価な 3D プリンタや CNC ツールの登場によって,だれでも工業生産の手段をてにいれることができるようになった. これが著者のいう 21 世紀の産業革命だ.
この本ではどんなツールがあり,それをつかっていまアメリカ中心になにがおこっているかを紹介している. 日本にはすぐれた町工場がたくさんあるが,こういうもっと小規模な “ホーム工場” を起業したひとはまだわずかだ. この本をきっかけに,どんどん,すそ野がひろがっていくことを期待したい.
評価: ★★★★☆
あたらしい工作機械をつかったものづくりの魅力 ― 田中 浩也 著 「FabLife ― デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」」
「ものづくり革命」 という本を書き,MIT で 「(ほぼ) なんでもつくる方法」 という講座を毎年ひらいているニール・ガーシェンフェルドから影響をうけて,世界中にファブラボという工房がつくられているという. 日本にはつくばと鎌倉にあり,著者は鎌倉のファブラボを開設した. この本の中心は著者の MIT での受講経験と鎌倉のファブラボを中心とする経験だ. この本を読むだけでも,3D プリンタなどをつかってものづくりがしたくなってくる. もっと時間があれば…
評価: ★★★★☆
熱くなるのはよいが,「売り物」をつくるむずかしさには気づくべきだ ― Mark Hatch 著, 金井 哲夫 翻訳,「Maker ムーブメント宣言 ― 草の根からイノベーションを生む 9 つのルール」
アマチュアでもものづくりができるようになった時代の「熱」をつたえる本だ. ものづくりに関してプロとアマチュアの差がすくなくなったと書いている. 減ったのは事実だが,とくにハードウェアに関しては,売り物をつくるのはそんなに容易なことではない. 著者は「熱」にうかれて,そこに気づいていないようにみえる.
評価: ★★★☆☆
日本のつよみをいかした小規模モノづくりの方法 ― 三木 康司, 宇都宮 茂 著 「マイクロモノづくりはじめよう ― 「やりたい! 」 をビジネスにする産業論」
著者は小規模の製造業 「マイクロモノづくり」 を実践し,同様のモノづくりをしているひとたちをこの本で紹介している. 成功例だけみてもあまり参考にはならないが,もっとも印象にのこったのはクリス・アンダーソンが 「Makers」 に書いたアメリカの状況と日本とくに東京のちがいだ. 日本で 1000 個くらいの小規模モノづくりをめざすなら,日本のつよみを知り,それをいかす必要があるということだ.
評価: ★★★☆☆
ちょっと高価だが DIY への勇気をあたえてくれる ― Mark Frauenfelder 著 「Made by Hand ― ポンコツ DIY で自分を取り戻す (Make: Japan Books)」
この本に書かれているのは,芝生を野菜園にかえたり,エスプレッソ・メーカーを改良したり,鳥小屋をつくったりという,その気になればだれでもできそうなことだ. しかし,その過程でのいろいろな失敗と,それにもかかわらずねばりづよく完成をめざすところがえがかれている. そういう比較的たわいのない内容であるわりには高価な本ではあるが,DIY への勇気をあたえてくれるだろう.
評価: ★★★☆☆
Neil Gershenfeld の 「ものづくり革命」 と 「Fab ― パーソナルコンピュータからパーソナルファブリケーションへ」
Neil Gershenfeld の 「Fab」 (日本語版) を読んだ. この本は 2005 年にアメリカで出版され,すぐに日本語訳されて,ソフトバンククリエイティブから 「ものづくり革命」 というタイトルで出版された. しかし,この本は品切れ (絶版 ?!) になっていて,Amazon.co.jp では古本に 14000 円もの値段がついている. 買いたかったがたかすぎるので,英語版を買った. こちらは 18 ドルだ.
ところが,買ってまもなくオライリーから日本語版が再刊された. それほど時間をかけて読むつもりもなかったので,日本語版を読んだ. 感想はここに書いたとおりだが,開発途上国でこそ必須のツールになっているというのは刺激的だ.
(これはアマゾンに投稿したものではありません)
開発途上国にもひろがる fab! 日本にももっと必要では? ― Neil Gershenfeld 著 「Fab ― パーソナルコンピュータからパーソナルファブリケーションへ」
MIT で 「(ほぼ) なんでもつくる方法」 という講座をひらいている著者が,そこでの fab (ものづくり),そこからひろがった世界のあちこちでの fabについて書いた本だ. 最初に出版されたのは 2005 年だが,そのときは売れなかったのだろう. しかし,今回は日本でもブレークする条件はととのっている.
開発途上国でおこっている問題を解決するには従来のものづくりの方法ではうまく対処できず,そういう場所でこそ fab の必要性がたかいという. また,その方法がすぐに吸収され発展させられていく様子がえがかれている. 日本では 3 か所に FabLab があるとはいえ,まだ普及していない. しかし,これから強力な手段になるのではないだろうか.
評価: ★★★☆☆
ややふるくて特徴的なつかいかたがわからないが,参考になる点はある ― 日経ものづくり, ローランドディー ジー 編 「3D ものづくり 製造業勝利への道 ― 成功企業の導入奮戦記とノウハウ」
3D CAD や 3D CAM とそれらをいちはやく導入した企業を取材したものだ. 出版されてから 8 年たっているが,この世界を知らないひとにとっては,いまでも参考になるとかんがえられる. ただし,企業紹介について書かれていることはとにかくはやく導入したことであり,それほど特徴的なつかいかたをしているようにはみえない. いま読んで不満なのはこういう特徴的な部分がわからないことだ.
評価: ★★★☆☆
テクノ手芸のおもしろさが十分にはつたわってこない ― テクノ手芸部 著 「テクノ手芸」
手芸と電子回路をくみあわせて,ひとや環境に反応してひかったり,うごいたりする作品をつくっている. 3 つの章からなっていて,イントロダクション,「テクノ」 とはいえない入門作品のつくりかた,そして 3 章が本命の,Arduino などをつかった作品のつくりかたを紹介している.
ところが,なぜか 2 章までがカラー印刷されていて,3 章は 2 色印刷だ. 作品そのものはそれなりにおもしろいが,完成品の写真は本の最初の部分をみる必要がある. その写真もあまり魅力的にはうつっていない. もっとテクノ手芸のおもしろさをひきだしてもらいたいものだ.
評価: ★★☆☆☆
関連情報
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