最近，Yahoo! のデイシンの店でリモコンつきの調光器を買ったお客様からお問い合わせがありました．そのなかで，電源ボタンが 1 個しかないリモコン，つまり，つけるにも消すにもおなじボタンを押すリモコンの問題点についての意見が一致して，「かんがえていたのは私だけではなかった」とおもいました．リモコンを設計するときにはぜひかんがえてほしい問題です．

 

当社で販売しているリモコンつき調光器のなかには，ボタンが 1 個のもの (左) と 2 個のものがあります．1 個のものは入れるにも消すにもおなじボタンを押しますが，2 個のものは入れるときと消すときとでちがうボタンを押します．

 

 

調光器のリモコンにかぎらず，おおくの電源ボタンには押しボタンがつかわれていますが，こういう 1 個だけの電源ボタンはやめてほしいとおもうのです． なぜなら，押すことで電源がはいるのか，きれるのかがわかりにくいからです．ほかのリモコンでも，下の写真のように電源ボタンが 1 個のものと 2 個のものとがあります．これらはどちらもエアコン用のリモコンですが，左は一般的な電源ボタン 1 個のもの，中央は非常にまれな 2 個のもの (「入」「切」ではなく「自動」「停止」と書かれています) です．右はもっと多い「入」を「冷房」と「暖房」とでわけたものですが，これはエアコン専用です．

 

 

ボタンが 1 個の場合，電源がはいった on 状態でも，きれた off 状態でも，ボタンの状態にはまったくかわりがありません．エアコンの場合には液晶ディスプレイがついているので，それをみれば on なのか off なのかがわかりますが，テレビのリモコンはほとんどディスプレイがついていないので，リモコンだけをみると on なのか off なのか，まったくわかりません (左下の写真)．つまり，ボタンを押すと on になるのか off になるのかがまったくわかりません．テレビの場合，リモコンだけでなくテレビ本体をみても，画面が表示されるまでに時間がかかるので，ボタンをおして電源がはいったのかきれたのかわかりません． こんなとんでもないインタフェースがほとんどのリモコンにつかわれているのは信じがたいことです．

 

      

 

オーディオ・アンプやパソコンなどの電源ボタンも，最近はいれるときも消すときも押すだけのものが多くなっています (中上，右上)．この場合は on 状態ではボタンがロックされる (つまり押し込まれたままになる) ので on 状態と off 状態で差があります (ロックするものはロックされた状態ではすこしひっこんでいる) から，よくみれば状態がくべつされるのですが，わかりにくいことはリモコンとおなじです．

 

リモコンのなかには，操作対象におくる電源 on と off の信号がちがっているものもあり，それはまだましです． しかし，信号もおなじものがあるようです． こうなると，人間だけでなくリモコンじたいにもいま操作対象の電源がはいっているのか，きれているのか，わからないことになります． リモコンには on/off がわかるばあいには，それをリモコン上に表示することが可能ですが，わからなければそれもできません．

 

この記事は個人ブログの「やめてほしい!! 現在の状態がわからない押しボタン電源スイッチ」という記事 (別サイト) をもとにしています．